院長紹介

interviewドクターズインタビュー
これまでのご経験、開業に至った経緯についてお伺いします。
私の母は、若い頃から聴力が低下していました。
幼い頃から母と一緒に過ごす中で、周りの人からの心ない対応に胸を痛めることが何度もありました。
「みんながおだやかに過ごせる世の中を作りたい」という想いで医学の道を選びました。
医学部に入り学びを深める中で、泌尿器科…特に排尿や性機能に興味を持ちました。
女性で泌尿器科に進まれるのは珍しかったですよね。
はい、私が卒業した産業医科大学では初めての泌尿器科の女性医師でした。
生命を支える排尿や性機能という“本能的な部分”に興味があったんです。
とても大事な機能なのにタブー視されていたり、誤った情報が広まっていたりする現状を、不思議でもどかしく感じました。
男性医師が多い診療科ですが、女性ならではの視点で貢献できることがあるかもしれない、とも思いました。
泌尿器科は“デリケートな悩み”を診察することが多いと思います。
先生が診療の際に心がけていることは何でしょうか?
泌尿器の症状は「はずかしい」と感じられがちで、
「ずっと言えなかったことを、今日ここで初めて話しました」と涙を流される方もいらっしゃいます。
私たちには当たり前の診療でも、一人ひとりにとっては大きな決断だったりしますから、その気持ちに寄り添い、プライバシーに配慮した対応を常に心がけています。
治療についても、患者さまと医師・医療者は対等だと考えています。
一方的に治療方針を押し付けるのではなく、どうしたらお悩みが解決に近づけるのか、一緒に悩み考えていきたいですね。
性機能の治療は総合病院で行うことが難しいのでしょうか?
総合病院で性機能の治療をしっかり行っているところは非常に限られています。
日本では、海外でエビデンス(科学的根拠)がある治療法でも保険診療の対象にならない場合が多く、総合病院という大きな組織だからこそ、治療方法が制限されてしまうジレンマがありました。
また、総合病院では平日のみ診療を行うことが多いですが、性機能の悩みについては、平日に仕事を休んでまで受診しづらいとお話される方が多くいらっしゃいました。そこで、働き盛りの世代の方々も通院しやすいよう、土曜午後に性機能ケアの診療を行いたいと思ったのも、開業を決意した理由のひとつです。

入ってきたときに、落ち着く院内の雰囲気ですね。
ありがとうございます。
スタッフやほかの患者さまと視線が交わりにくい導線を考えました。
院内には盆栽や和紙の照明を配置して、ほっと安らいでいただける空間づくりを意識しました。
患者さまが受診を迷っているとき、どんなメッセージを伝えたいですか?
「こんなことで受診するなんて…」と躊躇されるかもしれませんが、実際に受診された患者さまは「もっと早く受診すればよかった」「こんな相談ができるなんて」と晴れやかな顔をして診察室を出ていかれる方がたくさんいらっしゃいます。
泌尿器科の分野も日々進歩していて、頻尿や尿もれ、ED治療なども年々新しい治療法やおくすりが開発されています。まずは気軽に受診してみてください。きっと暮らしの質が向上するきっかけになるはずです。